ヴァンパイアガールズ
「ごめんね,浅海。訳も分からずちはやが突然教室に来るものだから……僕とちはやで2人には全部喋っちゃった」

「で? 俺に何か言うことは?」



2人に喋ったと言うことは,美海が知っていたことにも気付いたんだろう。

ただ1人何も知らないでいたシュウが,私を流し目で見た。



「嘘付いて,黙っててごめんなさい……?」



誘導されるような謝罪に,これで合っているのか分からない。

ほんとはもっと,ちゃんとしなくちゃいけないのに。

突然の事に,頭が処理しきれなかった。



「ま,んなことどうでもいいけどな,ほんとは。俺もハルも,お前が人間だと思って近づいたわけじゃねぇけど,どっちだろうが中身はかわんねぇし」



シュウは気が済んだのか,そのたった一言で私を許してしまう。

と言うより,最初から怒っていないように見えた。

気に障ったのは多分,除け者みたいになったこと。



「一々そんなこと謝ってくるとか,寧ろ人間な分ちょっと美味しくてお得ですって宣伝されてるだけの気分だっての」



確かに,と美海が同意した。



「いらねぇけど」



その言葉を聞いて,今度は私が聞く。



「そこ,もしかして兄弟なの?」



兄弟と言うか,双子。



「そう,本当やってらんない。てめぇの事に俺ら巻き込んで吹聴するなとか言いやがるんだから」



血縁に同い年の人間なんていない。

あれは,嘘にならない精一杯の隠し事だったのかと,私は思いだした。
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