幼なじみ、じゃない。

終わりは突然に


ー……


学校から出て、お互いゆっくりと歩く帰り道。なのに、


ーーまだ、手を握られたまま。



いつの間にか、腕をとられてたのが手に変わっていて、ぎゅっと握られてる。


その手に熱と意識が集中して、涼に話しかけようとしても上手く話せない。



「……あの、すず、手」



涼からの返事はない。


ーー聞こえているのかいないのか、さらに涼の手に力が加わった……気がした。


まるで、離さない……なんて、言われているような。



……なんて、私の良いように作られた妄想かな。


そんなはず、あるわけないのに。



都合が良いように捉えるのは、私のいけないところ。



……でも、まだ離さないでほしい……なんて。


そう思っちゃうのは、いけないかな。


涼より少し後ろにいるせいで表情は見えないけど、


ーーいつもとは違う表情をしていてくれないかな。



そう思うのも、私のいけないところかな。



触れあっている手から、私の好きが伝わればいいのに。



過去の自分の決意が、どんどん崩れ始めてる。



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