幼なじみ、じゃない。


「いってきます……」



弱々しく扉を閉めながら、何回も思うこと。


正直、学校に行きたくない。風邪でもひけば良かったのに、残念ながら私は健康優良児だ。


とりあえず、このひどい顔をお母さんたちに見られなくて良かった。変に心配させちゃうから。



引きずるようにして足を動かすと、ふいに隣の家……涼の部屋が目に映った。



「……そっか、もう起こしに行かなくていいのか」



私の、朝一番の特権。楽しみにしてた毎朝がなくなって、急に寂しさが襲ってくる。


……涼、ちゃんと起きれるのかな。



いつもなかなか起きないのに、私がいなくても大丈夫なの?


……大丈夫、か。



急に、なんで涼はあんなこと言ったんだろう。


ーー昨日、私があんな冗談言わなかったらまだ涼と幼なじみでいられたのかな。


あんな少しの嫉妬と戸惑いで、ぽろっと口から出た言葉。


今さら、後悔する。



……涼にとって、私は何だったんだろう。



もうやだ。考えたくない。



「……今日は雨、かな」



上を見上げると、どんよりと暗い雨雲だらけだった。




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