幼なじみ、じゃない。


不思議に思ったけど、やっぱりふたりは隣に並んでるからズキリと胸が痛む。


だけどバレないように、気にしていない風に笑顔で取り繕う。



「ねえねえ、2人ともよかったら一緒にまわらない?」


「っえ、」


「全然!まわろまわろー!」



驚いて言葉が詰まった私の代わりに、日葵がと答えてくれる。



「あ、でも私たち金魚すくい行こうとしてたから行っても良い?」


「おっけー!」



そうと決まれば、みんなぞろぞろと歩き出す。私も埋もれながら必死に付いていった。



「………っわ、すみません」



こんなとき、自分が浴衣を着ていることを後悔する。


少しずつしか動けない上に下駄に慣れてないから、どんどんみんなと距離が開いていく。


やっと人混みから抜け出せたかと思って、ほっとすると。





「……え、みんなどこ?」





一番恐れていたことが起きてしまったら、どうしたらいいのだろう。



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