幼なじみ、じゃない。
「……す、ず」
ーー助けにきてくれた?
よく見ると、少し汗ばんでいる。息もすぐに整えられたけど、少しだけ上がってた。
……走って、きたの?
涼が現れたことの安心感で、涙が零れ落ちた。
涼の手で捕まれていた肩がぱしっと弾かれて少しだけ恐怖が薄れた。
だけど空気はさらに険悪になって。
「あ?」
「……離れろ」
「お前誰だよ、知り合いか?」
私にニコニコしていた時の態度と変わってまるで別人になって涼を睨んでいる人たちに、ぞっとする。
すると隣から手をすっと取られて顔を上げると、いつも見てきた優しい微笑み。
「ーーー俺の中で、一番大事な子」
「……っ、え」
「は?」
「…っていうわけで、帰れよお前ら」
「ひっ」
今までに聞いたことのない低くて圧のある声に、絡んできた人たちはびくりと怯んで後ずさる。
それに涼の睨みが加わって、やばいと感じたのか逃げていった。