幼なじみ、じゃない。


「てことで、ごめんね羽衣」


「え?なにがーーーっ」



急に涼のピントが合わなくなって混乱したけど、今感じるのは重なっている唇の柔らかさ。



「……っん」



始めは重なるとすぐに離れるものだったのに、だんだんと長くなっていって。



……たべられてる、みたい。




「……んぅ、っ」



ーうまく、息が続かない。


酸素を取り込もうとしても、その時間は一瞬しかくれなくて、またすぐに塞がれる。


どんどん甘くなっていって、頭がくらくらとぼーっとしてくる。



「~~っ、」



今、花火やってるのに。私たちはこんなところで何をしているのか。



もう限界、という合図を送るために彼の胸板を弱い力でとん、と叩くと、やっと唇が解放された。



「ーーっ、はあっ」



さっきまで酸素がすごく薄かったと思う。思いっきり空気を取り込むと、少しだけ頭が冴えた。




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