幼なじみ、じゃない。


そしてなんで目の前の彼はけろっとしているのか。


私なんて、息は絶え絶えで肩を上下させているレベルなのに。



……これが、イケメンという人?



涼はそんなじとっとした視線を送る私に気づいたのか、首を傾げて柔らかく笑った。


そんな表情ひとつで許したくなるのだから、私も相当溺れているなと思う。



「花火、見る?」


「んー……もうちょっと」


「えっ、ーーーっん、」



てっきり「うん、見る」という返事を想像していたから、完全に油断してた。


もうちょっとって、もう十分じゃないの……っ!?



というか、それよりも。



「……すずっ、ここ、誰かに見られる…っ」



ここは夏祭り。もちろん他のお客さんもいるわけで。



< 75 / 79 >

この作品をシェア

pagetop