幼なじみ、じゃない。
そしてなんで目の前の彼はけろっとしているのか。
私なんて、息は絶え絶えで肩を上下させているレベルなのに。
……これが、イケメンという人?
涼はそんなじとっとした視線を送る私に気づいたのか、首を傾げて柔らかく笑った。
そんな表情ひとつで許したくなるのだから、私も相当溺れているなと思う。
「花火、見る?」
「んー……もうちょっと」
「えっ、ーーーっん、」
てっきり「うん、見る」という返事を想像していたから、完全に油断してた。
もうちょっとって、もう十分じゃないの……っ!?
というか、それよりも。
「……すずっ、ここ、誰かに見られる…っ」
ここは夏祭り。もちろん他のお客さんもいるわけで。