幼なじみ、じゃない。
人気者の彼
ー……
無事に時間に間に合って、下駄箱についた。
ちょっとギリギリだけど、セーフセーフ。
「あ、おはよー羽衣!」
「おはよう日葵!」
ばったり会った彼女、木下日葵(きのした ひまり)は私の大親友。
小学校の頃からずっと仲が良くて、高校でも同じクラスになれた時は思わず号泣しちゃった。
日葵はとにかく明るくて、元気な女の子。見てるだけで私も元気になれる。
私はそんな日葵が大好き。
「……って、日葵どうしたの?」
挨拶してからというもの、一向に私と目が合わない。ずっと私の隣をまじまじと見て、ニヤニヤと効果音が付きそうなほどの笑顔でこちらを見ている。
「……朝からラブラブだね~」
「いや違うから!」
「…………」
急になにかと思えば衝撃発言。私と涼はそんな関係じゃないっていつも言ってるのに……。
涼、何も言わないでなにしてるの。一緒に否定してよ、って…………寝てるよこの人。ほんとに無気力マイペースなんだから。
「……あっ、そろそろチャイム鳴っちゃう…っ!」
「え、…ほんとだ…!」
時計を見ると、あと数分。
付き合ってるとか、付き合ってないとか、それどころじゃない……!
ちょっと駆け足ぎみで、パタパタと廊下を急ぐ私たち。
「じゃあ、また放課後ね涼っ……!」
「ん、またそっち行く」
私と日葵、その隣のクラスに涼と、それぞれ自分のクラスに足を踏み入れた。