幸せの伝書鳩 ハートフルベーカリーへようこそ!
14.
「ヘヘヘ、うまくやったぞ。 儲けた儲けた。」 おじいさんがニヤニヤしながら歩いてきました。
「待てーーーー! 泥棒目! 金を返せ!」 後ろからお兄さんたちが血相を変えて飛んできました。
「何だい? 俺は何も知らないよ。」 「嘘吐け! あんたが「これを使えば便利だよ。」って言ったんじゃないか。」
「知らねえなあ。 俺は頼まれただけだから。」 おじいさんは平然と歩いていきます。
「何だと? あんたが売っておいて逃げるのか!」 「騙されるほうが悪いんだ。 馬鹿目。」
おじいさんはリュックの中に入っている財布を取り出しました。 「ヘヘヘ、こんだけ有れば暫くは遊んで暮らせるぞ。」
遠くから女の人たちが泣きながら歩いてきます。 どうしたんでしょう?
「おっと危ねえな。 見付かったら騒がれちまう。」 おじいさんはそっと物陰に隠れました。
「おじさんおじさん、そこで何をしてるの?」 物陰に居るおじいさんに陰丸君が声を掛けました。
「うるせえなあ! 黙ってろ! 隠れてるんだからよ!」 「え?」
思わずおじいさんが大声を出したので女の人たちが駆け寄ってきました。 「あ、居た居た!」
「ちきしょうめ! ばれたじゃないか! このやろう!」 「ってさあ、おじいさん 何をしたの?」
焦っているおじいさんに陰丸君が聞きました。 「ななな、何にもしてねえよ!」
「だったら逃げなくてもいいじゃない。 ちゃんと話しなよ。」 「あなたですよね? 私から金を盗んでいったのは?」
「違う違う、、、貰ったんだ。 貰ったんだよ。」 「私はあげてませんよ。」
「いやいや、あなたは私にくれたんだ。 くれたんだ。」 「そう言って何人も騙したのね?」
「騙してなんかない。 きちんと話したぞ。」 「じゃあ、誰にどういう話をしたんですか?」
さっきのおじさんたちも駆け付けてきました。 陰丸君はおじいさんの眼を見ています。
「何見てるんだよ 気持ち悪いなあ。」 「おじいさん ほんとのことを話してくださいよ。 怒らないから。」
「ふん、誰が聞くもんか。 話さねえよ。」 押し問答が続いていますが、、、。
「昔懐かしいポンポン菓子は要らんかねえ? ポンポン菓子だよー。 美味しいよー!」 紙芝居を持ったおじさんがやってきました。
「さあさあ、昔懐かしいポンポン菓子だよ。 大きな音がするからね。」 おじさんが機械を動かすと、、、。
ポーン! 辺りに大きな音が響き渡りました。
「さあ、どうぞ。 出来立てのポンポン菓子じゃ。 食べておくれ。」 あのおじいさんもおじさんも女の人たちも恐る恐る袋を受け取って食べ始めました。
しばらくすると、、、。 なんだかおじいさんが怖がっているようです。
「どうしたの?」 陰丸君が聞いても応えてはくれません。
ガタガタ ガタガタ おじいさんは何も言わずに震えています。 「分かった分かったよ。」
そう言うと背負っていた大きなリュックサックを投げ出しました。 「そこに今までに盗んだ金が全部入っている。 お前たちに返すから取ってくれ!」
おじいさんは真っ青な顔でそれだけ言うと何処かへ逃げていってしまいました。
それを見ていたポンポン菓子のおじさんは、、、。
「人間なんてなあ、よっぽど用心していても欲には勝てないんだよ。 恐ろしいもんだ。」
「でもさ、無理に抑えてもダメなんだよね?」 「そうだ。 少しの物で満足出来ればいいんだが、そればっかりじゃあ面白くない。」
「息抜きも大切だね?」 「そうそう。 真面目ばかりでも息が詰まって苦しくなる。 脱線してばかりでもダメだ。 生きるってことは難しいもんだね。」
陰丸君は逃げていったおじいさんの後姿をいつまでも見詰めているのでした。
「待てーーーー! 泥棒目! 金を返せ!」 後ろからお兄さんたちが血相を変えて飛んできました。
「何だい? 俺は何も知らないよ。」 「嘘吐け! あんたが「これを使えば便利だよ。」って言ったんじゃないか。」
「知らねえなあ。 俺は頼まれただけだから。」 おじいさんは平然と歩いていきます。
「何だと? あんたが売っておいて逃げるのか!」 「騙されるほうが悪いんだ。 馬鹿目。」
おじいさんはリュックの中に入っている財布を取り出しました。 「ヘヘヘ、こんだけ有れば暫くは遊んで暮らせるぞ。」
遠くから女の人たちが泣きながら歩いてきます。 どうしたんでしょう?
「おっと危ねえな。 見付かったら騒がれちまう。」 おじいさんはそっと物陰に隠れました。
「おじさんおじさん、そこで何をしてるの?」 物陰に居るおじいさんに陰丸君が声を掛けました。
「うるせえなあ! 黙ってろ! 隠れてるんだからよ!」 「え?」
思わずおじいさんが大声を出したので女の人たちが駆け寄ってきました。 「あ、居た居た!」
「ちきしょうめ! ばれたじゃないか! このやろう!」 「ってさあ、おじいさん 何をしたの?」
焦っているおじいさんに陰丸君が聞きました。 「ななな、何にもしてねえよ!」
「だったら逃げなくてもいいじゃない。 ちゃんと話しなよ。」 「あなたですよね? 私から金を盗んでいったのは?」
「違う違う、、、貰ったんだ。 貰ったんだよ。」 「私はあげてませんよ。」
「いやいや、あなたは私にくれたんだ。 くれたんだ。」 「そう言って何人も騙したのね?」
「騙してなんかない。 きちんと話したぞ。」 「じゃあ、誰にどういう話をしたんですか?」
さっきのおじさんたちも駆け付けてきました。 陰丸君はおじいさんの眼を見ています。
「何見てるんだよ 気持ち悪いなあ。」 「おじいさん ほんとのことを話してくださいよ。 怒らないから。」
「ふん、誰が聞くもんか。 話さねえよ。」 押し問答が続いていますが、、、。
「昔懐かしいポンポン菓子は要らんかねえ? ポンポン菓子だよー。 美味しいよー!」 紙芝居を持ったおじさんがやってきました。
「さあさあ、昔懐かしいポンポン菓子だよ。 大きな音がするからね。」 おじさんが機械を動かすと、、、。
ポーン! 辺りに大きな音が響き渡りました。
「さあ、どうぞ。 出来立てのポンポン菓子じゃ。 食べておくれ。」 あのおじいさんもおじさんも女の人たちも恐る恐る袋を受け取って食べ始めました。
しばらくすると、、、。 なんだかおじいさんが怖がっているようです。
「どうしたの?」 陰丸君が聞いても応えてはくれません。
ガタガタ ガタガタ おじいさんは何も言わずに震えています。 「分かった分かったよ。」
そう言うと背負っていた大きなリュックサックを投げ出しました。 「そこに今までに盗んだ金が全部入っている。 お前たちに返すから取ってくれ!」
おじいさんは真っ青な顔でそれだけ言うと何処かへ逃げていってしまいました。
それを見ていたポンポン菓子のおじさんは、、、。
「人間なんてなあ、よっぽど用心していても欲には勝てないんだよ。 恐ろしいもんだ。」
「でもさ、無理に抑えてもダメなんだよね?」 「そうだ。 少しの物で満足出来ればいいんだが、そればっかりじゃあ面白くない。」
「息抜きも大切だね?」 「そうそう。 真面目ばかりでも息が詰まって苦しくなる。 脱線してばかりでもダメだ。 生きるってことは難しいもんだね。」
陰丸君は逃げていったおじいさんの後姿をいつまでも見詰めているのでした。