私の弟はヴァンパイア。
えっ……う、嘘、嘘でしょ!?

ポカンと開いた口が塞がらなくて、目がまん丸になるのがよくわかった。

でも、「ちがう」そう言おうとしたけれど、ここは姉として弟を助けねば!

そう思って、


「あ、あはは……」


とりあえず苦笑いをした。


その瞬間、バッと千隼くんに視線が向いた。

女子たちは今度また千隼くんに近づき始めたのだ。


どうにかしようと、女子たちの間を頑張って潜り逃げて千隼くんの腕を握った。


「こ、この子私の彼氏なんでっ!!」


目を瞑って、思いっきりそう言った。


その瞬間、周囲がざわめき始める。


「え?2人と付き合ってんの?」

「フツーに浮気じゃん」


クスクスと笑われたり、変な目で見られたりしてしまったけれど……仕方がない。


弟のために自分を犠牲にした、我ながらいい姉だ。



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