私の弟はヴァンパイア。
そんな言い方、ずるいよっ……。


「……だからさ、俺にしなよ」

「えっ?」

「アイツは、千秋は……何考えてるかわかんなくて怖いヤツだけど、俺はそうじゃない」

「あ、あはは……確かにそれは言えてるかも」

「だろ。だから——」

「でも私、好きとかわからないんだ」


首筋に顔を埋めて、スリスリしてくる千隼くん。


「男の人、お父さんとあーくん以外苦手だったから……好きとかわかんなくて」

「……そっか。じゃあ、これからわかればいい」

「……え?」


私は両頬を不敵に微笑んだ千隼くんに包まれる。


「俺がわからせてあげる、好きがどれだけ幸せで苦しいのか」

「ぬななっ……!!」


イケメンの笑顔、恐るべし……!!


ワナワナしていると、千隼くんがフラッとする。


「だ、大丈夫……!?」

「ん、平気。あんまり桃乃に負担かけたくないから」

「っ……」


そっか、血が足りてないってことだよね……。


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