私の弟はヴァンパイア。
生憎隣の席は空いているのだ。言われなくとも、ここになっていた可能性も高い……。


そう我慢して、おとなしく転校生くんが隣の席になることを認めた。



授業が始まると、肩をポンポンと叩かれる。


「ど、どうしたの?赤坂くん」


ジーッとさっきから私を見つめて。

一体、何か顔にでもついているのだろうか。


「教科書、まだもらってないから。見せてもらってもいい?」

「ああ、うん」


机をくっつけて、教科書を間に置く。


「……天沼さん、契り、交わされてるんだ」

「えっ?契り?」

「うん。番、いるんだね」

「番……」


ああ、千秋くんと千隼くんのことかな?

契りなんて交わした覚えないけど、きっとそういうことなのだろう。


「残念だな、天沼さん一目見た時からなんかすごく運命感じたから」

「へっ?う、運命……!?」

「うん。そうだよ?純吸血鬼の俺には運命の相手とかいないけど、それでも……ビビッと来ちゃったんだよね」

「そ、そうなんだ、嬉しいな、アハハ……」





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