私の弟はヴァンパイア。
何が合ったのか、今日は女の子たちには囲われていない。


「ふ〜ん。アイツがね」

「……?」


ボソッと何が呟いた赤坂くんだったけれど、私にはなんて言ったのかよくわからなかった。


「寂しかったから会いに来ちゃった」

「そ、そうなんだ」


千秋くんの方に近寄っていく。


すると手をぎゅっと握られた。


「ねぇ、充電してもいい?」

「充電……?ごめんね、私スマホの充電器持ってないんだ……」

「あはは、そうじゃなくて、こうだよ」

「へっ?」


そう言われた瞬間、バッと抱きしめられてしまったのだ。


「ど、どういうこと……!?無理、恥ずかしいよ……!!」

「静かに。今周り牽制してるから」

「け、牽制……?」


千秋くんの胸で何も見えないけれど……もしかして、赤坂くんとバチバチなのかな?


と、そんなことを考えていると後ろから足音がして、赤坂くんの声が聞こえてくる。


「ねぇ、俺も天沼さんの番になりたいんだけど」

「……は?」


ドス黒いオーラを放ち始めた千秋くん。

これ、まずいやつだ……。


「番って言うな。俺たちは食糧と食者じゃない。恋人だ」

「千秋くん……」

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