私の弟はヴァンパイア。
どうしてだか、ちょっぴり嬉しかった。

だけど……


私たち、恋人じゃないんですけど??


「へぇ……今時珍しいね、俺の両親は食糧婚だったから」


しょ、食糧婚……?

名前の通り、番とか……そういう、運命の、人だから無理矢理ってこと……?


でも私、ちっとも千秋くんと千隼くんのこと嫌だとは思わなかったのに……?

吸血鬼の世界って、わからないなぁ。


「そんなの関係ないだろ。どうでもいい。人の女に手出そうとすんな」

「だってさ、美味しそうなんだもん。天沼さん」


お、美味しそう……!?


一体どこら辺が……?


「肌白いし、血で染めたら綺麗そうじゃん」


な、何それ……!!めちゃくちゃ怖いんですけど!!


思わずぷるぷる震えると、ぎゅっと千秋くんの私を抱きしめる手が力む。


「黙れ。それ以上喋ったら消す」

「おお、怖いね。先輩相手にひどいもんだ」


いやいや、赤坂くんも結構私にひどいこと言ってると思うんですけど……。



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