ゾーイ・テイラーと魔王の側近
「学校の校長が、ぜひ講演をしてもらいたいと言ってきてね。ルーチェ、君も一緒に来てくれないかな?アーサーやティムも一緒で構わない」

クラルの顔は真剣そのものだった。異世界の映像を先ほど見たとは言え、ルーチェもクラルも知らない世界だ。魔法を使っている人物がいたことから、ルーチェが前世で過ごしていた日本ではないことは明白である。

(知らない世界に飛び込むのは、とても怖くて、ものすごく勇気がいる)

そのことをルーチェはよく知っている。拳を強く握り締め、返信をするためにルーチェは口を開いた。

「もちろんです。クラル様と共に、僕も行きます!」

「ありがとう、ルーチェ」

クラルが微笑む。その笑みのおかげか、ルーチェの中にある緊張は少しほぐれた。



「えっ!?異世界に!?」

クラルから異世界の話を聞いた数日後、屋敷にはアーサーとティムが遊びに来ており、ルーチェが異世界の話をすると、二人は当然ながら驚いていた。
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