ゾーイ・テイラーと魔王の側近

「異世界かぁ〜……。でも、魔法使いが見えたってことは日本じゃないんだね」

ティムがルーチェの見たものを聞くと、少しだけ寂しそうな顔をする。ルーチェも日本の街並みなどを思い出し、少しだけ懐かしさを覚えた。

「そんな顔すんなよ、二人とも。異世界って一つじゃないんだろ？日本にだってきっと行けるはずだ！」

アーサーが元気付けるかのように二人の肩に腕を回す。ニッと笑った彼の笑顔を見て、ルーチェは真夏の太陽をふと頭に浮かべた。

「ねえ、よかったらアーサーとティムも講演に来ない？冒険者育成学校の話とか、一緒にしてほしいなって思って」

ルーチェがそう言うと、「本当！？行っていいの！？」とティムが目を輝かせる。アーサーも「えっ、マジか！！」と興奮した様子だった。

「この世界のこともまだ知らないことが多いけど、異世界に気軽に行けるなんてわくわくする！」

「どんな生徒がいるのか、講演が楽しみだ！」