ゾーイ・テイラーと魔王の側近

青みがかった黒髪に赤い目をしたクラルがそう言いニコリと笑うと、女子生徒の数人が頰を赤く染めた。壇上に立つ四人は容姿が整っている。ロネはそのことに不安を覚えゾーイの方をチラリと見たが、ゾーイは無表情のためホッとした。

「クラル様の側近のルーチェ・クロウディアです。よろしくお願いします」

「剣術士のアーサー・ウィリアムズです。よろしく！」

「ティム・ラファールです。司祭です。よろしくお願いします」

他の三人も自己紹介をし、ナタリーが「ティムって人、一番かっこいいかも」と目を輝かせながら言い、ネイサンが「は？」と低い声を出しながら反応する。他の生徒もヒソヒソと四人について何やら話している声が聞こえた。

（四人の着てる服、やっぱり僕らとはちょっと違う。本当に異世界から来たんだ）

ロネは目を輝かせる。否、ロネだけではない。体育館にいる生徒や教師全員が、彼らに興味津々と言いたげな目を向けていた。