ゾーイ・テイラーと魔王の側近

「アーサー、あのモンスターたちを頼む！ティムは怪我をした人たちの救護をお願い！」

ルーチェがそう言い、二人は「了解！」と言いながら動き出す。アーサーが剣を取り出したのを見て、ネイサンも剣を抜いた。

「俺も戦う！勇者の息子だからな！」

「なら、私も参戦する。サポートくらいならできるわ」

ネイサンにナタリーが笑いかけ、ロネも杖を握り締める。未だに体育館はパニックに包まれている。大きな事故がいつ起こってもおかしくない。

「僕も戦うよ！フランマ！」

ロネが杖を怪物に向けて呪文を唱えると、杖の先から炎が飛び出し、怪物の吐き出した光線とぶつかり、消える。もう一度ロネが魔法を使おうとすると、ゾーイにローブの袖を掴まれた。

「ロネ、無茶はするなよ。私は非難誘導に回る」

「ありがとう、ゾーイ」

一瞬だけ二人は唇を重ねた後、ロネは怪物の方へ、ゾーイは体育館出入り口の方へと走っていく。それを見届けた後、ネイサンが剣を掲げて言った。