ゾーイ・テイラーと魔王の側近

「俺が攻める。ナタリーとロネは援護を頼む」

「了解！」

ロネとナタリーは同時に言い、ネイサンは走り出す。助走をつけて地面を強く蹴り、怪物に剣を振り下ろした。

ナタリーは歌い、その歌声で怪物たちの注意を引く。ロネが防御魔法と攻撃魔法を交互に放ち、ネイサンのサポートをしていく。

「お前、すげぇな！俺も負けてられないな！」

ネイサンが再び攻撃しようとすると、アーサーが地面を蹴り、怪物を斬り付けながら言う。ネイサンはフッと得意げに笑った後、「それはお互い様だろ」と言う。

「すごいな。異世界にはこんな力を持った子たちがいるんだ……」

クラルがポツリと呟き、その横でルーチェが「そうですね。興味深いです」と言う。ルーチェのアメジストのような瞳は、魔法を何度も放つロネに向けられていた。その時だった。

「危ない！！」

ロネが血相を変え、ルーチェたちの方に杖を向け、「シルト！」と叫ぶ。怪物がルーチェたちの背後からもゆっくりと姿を見せていた。

（僕の防御魔法で防げるのかな？）