ゾーイ・テイラーと魔王の側近
(この人、すごい……!)

そう思ったのはロネだけではなかったようで、ネイサンは「あの怪物を一瞬で!?」と驚き、ナタリーは目をパチパチと瞬かせながら言葉を失っている。

「さすがクラルさん!俺たちは一旦後ろに下がろう。あとはルーチェとクラルさんに任せるんだ」

アーサーが笑みを浮かべた後、ロネとネイサン、そしてナタリーに声をかける。言われるままロネたちが壁際に寄ると、ルーチェとクラルは恐れることなく怪物たちの前に立った。

「あの人数を二人で相手するなんて、無理があるんじゃない?」

ナタリーが不安げに言う。しかし、アーサーは首を縦に振ることはなかった。

「大丈夫。あの二人の魔法ならあんな奴ら一瞬だ」

「そんなに二人は強い魔法を使えるの?」

ロネの胸が弾む。偉大なる魔法を見ることは自身の経験に繋がっていく。ロネは二人の動きをしっかりと見れるよう意識を集中させた。

「ルーチェ、いけそう?」

「クラル様、問題ありません」
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