ゾーイ・テイラーと魔王の側近

光が消え、揺れが収まるまで数分ほど時間がかかった。揺れや光を感じなくなり男性が恐る恐る目を開けると、そこにあったものに「やったぞ！！」と歓喜の声を上げる。

「ついにやりましたね！」

「大成功です！」

黒いローブに身を包んだ人々も口々に歓喜の声を上げ、抱き合ったりして喜び合う。彼らの目は、先ほどは何もなかった壁に向けられていた。何もなかったはずの壁には、今、大きな木製の扉ができている。

「ああ、やっとこれで……！」

男性はニヤリと笑った。



大きな森がある自然豊かな街の一軒家の一室、ベッドに潜り込んで一人の少年が寝息を立てていた。少年の金糸のような髪は、朝日を浴びて煌めいていく。

「ロネ〜！！学校遅刻するわよ〜！！」

夢の中にいた少年ーーーロネ・ガランテは母の声で目を覚ます。そして時計を見て、「わっ！準備しないと！」と言いベッドから飛び起きた。

パジャマからローブに着替えた後、すぐにロネは一階にあるリビングへと降りる。その手には教科書の入ったかばんと、彼のトレードマークである月がモチーフのアクセサリーがついたとんがり帽子を持って。