ゾーイ・テイラーと魔王の側近

「何だと！？」

ネイサンが勢いよく立ち上がる。ロネ、ナタリー、ゾーイもそれに続くようにして立ち上がった。

「早く助けに行かないと！」

ロネがそう言い、走り出す。勢いよく飛び出していったロネたちを追って、ルーチェたちもカフェを飛び出した。

「また僕たちの世界のモンスターが来たなんて、一体何が起こってるんだろう……」

ひとりごとをポツリとルーチェが呟くと、隣にいたティムが「扉の不具合かな？」と返す。その言葉に対し、クラルがすぐ否定の意見を述べた。

「いや、それはないと思う。魔法は完全なるものじゃない。でも人だけでなくモンスターまで行き来できるようになってしまったら、こちらの世界が最悪滅びてしまう。そんな危険な状態で扉を使ったりは普通はしないと思うよ」

頭の中が混乱していくのを感じながら、ルーチェたちは広場へと走った。



ルーチェたちがロネたちの世界にやって来て数日、街は不穏な空気に包まれている。

「またモンスターが出たわ！！」