僕の隣には吸血鬼の藤堂明日香ちゃんが・・・

居間

 藤堂家、居間。
 明日香ちゃんがスイッチを入れた。
 僕は明日香ちゃんの居間を眺めた。そこは広く豪華だった。天井にはシャンデリヤが豪華に部屋を明るくしていた。大型テレビがあった。テーブルがあり、ソファがあった。 
 「わあ」
 と、僕。
 「うふ」
 と、明日香ちゃんは言って、ソファに座った。
 「座って」
 と、明日香ちゃん。
 「は、はい」
 と、僕は言って、明日香ちゃんから離れたとこに座った。
 「今、お茶を入れるわ」
 と、明日香ちゃん。
 「ありがとうございます」
 明日香ちゃんはたった。明日香ちゃんはキッチンへ行った。しばらくして、明日香ちゃんはおしゃれなカップがのったお盆を持ってきた。
 「はい」
 明日香ちゃんが僕に近づいた。そうしてカップを僕の前に置いた。いい香りがした。
 「いい匂いがする」
 と、僕はいった。
 「え、匂いを嗅いだの?」
 「そうじゃなくてえ、そうじゃなくてえ、つい」
 しかし、明日香ちゃんは笑みを浮かべた。
 「うふ。いいのよ。不快じゃない。それに私に好意があったんでしょ。うれしいわ。それにあなたの方から近づいたんじゃない。長時間でもないわ。なら、ハラスメントじゃないわ」
 僕は安心した。
 「じゃあ、ケーキ持ってくるわ」
 と、明日香ちゃん。明日香ちゃんはまたキッチンへ行った。キッチンの奥へ行った。
 僕はカップの中をのぞいた。おそらく紅茶だろう。いい香りがした。
 しばらくして、明日香ちゃんはお皿に野いちごのショートケーキを載せ帰って来た。明日香ちゃんは僕に近づき、野いちごのショートケーキの載った皿を置いた。明日香ちゃんの匂いがした。
 「また匂いを嗅いだのね」
 「あ、いや、その」
 「安心して。やはり不快ではないわ」
 僕は笑った。
 「そうですか」
 「じゃあ、私の分を持ってくるわ」
 といって明日香ちゃんはまたキッチンへ行った。僕は野いちごのケーキを見た。真っ赤な野いちごがのっている。
 明日香ちゃんがカップを持ってきて、僕の隣に置いた。え、と僕は思った。僕の隣に来てくれるのか。
 またキッチンへ行った。野いちごショートケーキの載った皿を持ってくると、それを、やはり僕の隣に置いた。そうして、僕の隣に座った。いい匂いがした。僕はどきどきした。
 「どうぞ、召し上がって」
 と、明日香ちゃん。
 「あ、はい。いただきます」
 と、僕はいって、フォークを持った。さあて、野いちごを先に食べるか、ケーキが先か。それが問題だ。
 「どうしたの?」
 と、明日香ちゃんが顔を近づけてきた。いい匂いがした。僕は赤くなった。
 「また匂いを嗅いでいるのね」
 「あ、ごめん」
 「あは。冗談。やはり不快じゃないし、私の方から近づいているし」
 僕は安心した。
 「で、どうしたわけ?」
 と、明日香ちゃんが聞いてきた。
 「あ、別にどうでもいい話なんですけど、野いちごから食べるか、ケーキから食べるか、迷っちゃって」
 と、僕はいった。
 「確かに、重要な問題だわ」
 と、明日香ちゃんはいった。
 「うーん。僕はどうしてらいいんだろう」
 「うーん。それはあなたの自己決定権じゃない?」 
 「そうか。僕の自己決定権なんだ」
 「決めるのよ」
 と、明日香ちゃん。
 「決める?」
 「そう、決めるのよ」
 「そうか。決めるんですね」
 「そう」
 僕は決めることにした。人生の大事な決定だ。僕は野イチゴののったケーキを見た。
 「よく考えて」と、明日香ちゃんがまじかでいった。またいい匂いがした。
 「また匂いをかいでいるの?」
 「え」
 明日香ちゃんは笑った。
 「冗談よ。私の方から近づいてるんだから」
 「あははは」
 僕は苦笑いした。僕は考えた。
 
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