一途な気持ちは止められない

 耳打ちでもしたいのかと夏菜子を耳を寄せた。






 『チュ』





 「―――――――!!」






 突然のことで叫びそうになるのを必死でこらえた。


 耳にキスをされたのだ。



(夏菜子の頭の悪い原因になる血をちょっとだけ吸っちゃった)


(血は吸わないって約束だったじゃない)


(続けると、頭がよくなるかもしれないよ?)



「こら樋口! 三好! こそこそ喋るのもいいかげんにしないか」





 頭の悪い原因になっている血を吸ったとはどういうことなのか?

 余計に授業に身が入らなくなってしまった。


 * * * * * *


「ヴァンパイアはね、好きな血液を吸うことが出来るんだよ」

 胸を張って自慢げに話すのは、授業が終わった後の藍。


「もちろん、人間の身体にとって大切な成分だけを吸い取って死に追いやることもできる」

 そう言ってにやりと笑う。

「そして、美味しい所だけ選んで吸うことも出来る。夏菜子の血は美味しいんだよ」


「それは分かったけど、頭の悪い原因になる血液って何よ」


「それはそのままだよ、頭の回転を鈍らせてしまっている部分の血をちょっとだけ吸ったんだ。

 全部吸っちゃうと、また貧血になっちゃうからね」

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