一途な気持ちは止められない
「わ、解ってるわよ、冗談よ、冗談!」
明らかに焦りの表情を見せた彩は手を振ってごまかした。
『じゃぁそのうち連絡するわね』と夏菜子に向かって話しかけ自席に戻っていく。
「ちょっと今のは辛らつだったかも? まぁ、私もちょっと拒絶反応出ちゃったけど……」
「そうかな? 俺は本当の事を言っただけだし、あの子は俺もあまり好きじゃない。
それに、夏菜子と俺は付き合ってるんだ。邪魔者になりそうな人は近づけたくないよ」
そう言って、夏菜子のことをぎゅっと抱きしめる。
ドキドキと鼓動が早くなる。
「だから、教室で……」
そんな言葉も気にせずに頬に口づけする藍。
確かに付き合うことを承諾したのは自分だが、タガが外れたように抱きしめられたり毎日のキスが増えたりするなんて思っていなかった。
とはいえそれはそれで幸せな時間だったりもする夏菜子は、どうすればいいのか分からなくなり何も言えなくなってしまった。