一途な気持ちは止められない
「お母さんにも分からないことは沢山あるだろうけど、話を聞いて相談に乗ることくらいはできると思うな」
そう言って母親は再びチャーハンを食べ始めた。
そうだろうけど、ヴァンパイアのことなんて……。
「知らないことだと思うし……、ごめんね、話をする勇気がないよ」
「知らないかもしれないし、知ってるかもしれない。
知ってることなら助けてあげられる。
母親だもの、助けになってあげたいよ」
そう言って母親はぐいっと夏菜子に顔を近づけてニヤリと笑う。
「彼氏でもできた?」
『ドキッ……』
体が硬直する。
「図星。学生が悩むことのナンバーワンは、恋愛ごとって相場が決まってるのよ」
そう言いながら自慢げに夏菜子を眺める。
どうしよう、彼氏のことはバレたのはいいとして……。
ヴァンパイアだって言ってしまってもいいのかな……。
「どんな彼氏? 格好いいの? 可愛らしい感じ?
でも知らないかもしれないってことは、単純な話じゃないんでしょ?」
心配事を聞き出すように、優しく話しかける母親。
「うん……でもすごくカッコイイ……」
夏菜子の言葉に笑顔を見せる母親。
「そう。偶然出会ったの?」
「前、話したことがあったでしょう? 転校生が来るって噂。その人」