一途な気持ちは止められない
「ところで、会う時間が少なくなってしまったの、どうすれば元に戻せるでしょうか?」
藍がおじいちゃんに懇願するように質問する。
その手はずっと夏菜子とつないでいる状態だ。
「お互い、迷惑を掛けちゃいけないと思ってその渡邉さんとやらの言いなりになってるんだろう?
そんなの、簡単なことだよ、無視すればいいんだ」
無視?
祖父はどうってことないと言うような雰囲気で淡々と話し始めた。
「ヴァンパイアの愛情表現は止められない。
とめどなく溢れる愛情を向ける相手に会えないなんて、身体を壊してしまうよ。
そうだな、毎日失恋したくらいのショックが続いているんじゃないかな?」
「おっしゃる通りで……。夏菜子に会いたくて、話がしたくて、抱きしめたいんです」
そう言って椅子から立ち上がり、藍は夏菜子をぎゅっと抱きしめた。
「ちょっ……だから、親の前だからっ! ねっ!」
「夏菜子、私たちは気にならないわよ、逆に懐かしいくらいだわ」
そう言われても、恥ずかしいのは私なんですが……。
「とりあえず、無視してごらん、ヴァンパイアの愛情に勝てる嫉妬なんてないんだから」