一途な気持ちは止められない
そんな毎日が続いていくと、二人の絡みに突っ込むクラスメイトもほとんどいなくなった。
おじいちゃんの言っていた、『無視してしまえばいい』という言葉は本当だった。
しかし、それは藍だから通用したのだろう。
誰から見ても夏菜子にしか興味がなく、夏菜子への愛が強く、誰も間に入ることが出来ないことが日に日に解ってしまったのだろう。
半月も経てば、彩も二人をやっかむのを諦めたようで、こちらに話しかけることもなくなってしまった。
『最初は本当に友達が出来たと思って嬉しかったんだけどな……』
そんなことを思ったりもしたが、生まれてしまった歪は簡単には取り戻せないことは夏菜子にも分かっていた。
「ねぇ藍くん」
夕方の図書室で勉強をしているところ、夏菜子は藍に話しかける。
「渡邉さんって、悪い人だったのかな……?」
その言葉を聞いて、藍はいつもの言葉を言ってくれた。