一途な気持ちは止められない
「同じこと?」
驚いたような顔で彩は夏菜子の顔を見つめた。
「私も、渡邉さんと友達になりたかったんだ。
でも、きっと嫌われてるんだって思ってたから、なかなか声を掛けられなくて」
夏菜子と渡邉は顔を見合わせて、『ぷっ』と噴き出した。
「あたしたち2人とも不器用だったのね。
特にあたしはひねくれてた。
改めて……」
渡邉は姿勢を正すと夏菜子と藍に向き直った。
「夏菜子ちゃん、藍くん、あたしと友達になってください」
夏菜子も姿勢をただす。
「こちらこそよろしくお願いします、渡邉さん」
「渡邉さんだなんて、彩って呼んでよ。夏菜子ちゃん!」
「え? 名前で呼んでもいいの?」
「いいに決まってるよ! だって……友達なんだから」
そう言って頬を染める彩。
夏菜子も恥ずかしそうにはにかんでいる。
「もういいかな? 俺今日はパンケーキ食べたいんだけど」
青春の雰囲気ぶち壊しの藍の台詞に3人で笑った。