エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。



「名前を言っていなかった。俺は志野谷慈という。一応は社長職をしていて父から継いだ会社を経営している」

「社長、さん……」

「君の名前を教えてほしいんだけど、いいかな」


 そう志野谷さんは私が寝ているベッドの横に備わっている椅子に座った。


「すみません。私は、葉月愛といいます。愛と書いて“いと”と読みます」

「いとちゃん」

「あっ、はい」

「いい名前だな。素敵な名前だ」


 無表情だった彼は微笑んでくれた。彼の笑みに体が熱くなるのを感じて俯く。

 そういえば、今何時だろうか。


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