エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
「どうかしたか?」
私が少し不安そうな顔をしたからか、心配そうな顔をして志野谷さんが私の表情をのぞいた。
「すみません……志野谷さん。お尋ねしたいのですが、今は何時でしょうか?」
朝なのか夜なのかわからない。朝なら仕事行かないと行けない。
「今は、……朝の九時だよ」
「え、九時ですか……あっ、仕事!」
九時だなんて遅刻だ。大遅刻だよ。どうしよう……二日目で大遅刻するなんて!とベッドから起き上がり降りようとすると志野谷さんに止められた。
「……どこに行くんだ」
「仕事です、もう遅刻かも知れないけど」
「それなら心配いらない。社長の権限を使ってうまく休みにしておいた」
「社長の権限……え、もしかして志野谷さんって」
「君が働いている百貨店の会社の社長ってとこかな。それに、君はやっと研修が終わったばかり」
なっ……!全て知られてるってこと?
それに社長さんだなんて信じられないんだけど。