エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
「だから仕事は気にしなくていい。それよりも着替えをしよう、今服を頼んでいる」
「え、服?」
「あぁ、必要だろう。今、着ているのは俺の姉のものでお下がりみたいなものだからな」
素人でもわかるくらいこんな上質な生地が古着って……絶対高い品だよ。
すると、ドアがノックされて「入るわよ〜」との声と同時に女の人が入ってきた。それはさっきの綺麗な女性だった。
「慈、朝早すぎてあんまり店空いてなかったから必要最低限のものしか買えなかったわよ」
「そうか、姉さん。ありがとう」
「いいよ。じゃあ、着替えるから、慈は外に出てちょうだい」
お姉さんはそう言うと彼は部屋から出て行った。
「うん、いいわね。サイズぴったりだわ」
お姉さんはそう言いながら「恐るべし番の力」と小声で言った。
「お姉様、あの……番って言いました?」
「あー……いや? うん。気にしないで、愛ちゃん。この色も似合ってるわね、今からはこれにしましょう」
私の言葉から何か焦って話題を変えたお姉様は何着か着て今から着るものが決める。着たまま、髪をセットされた。
「……よし、可愛い。慈を呼んでくるわ」
「はい」
そう頷くと、お姉様は「そうだ、慈のような男はめんどくさいから覚悟したほうがいいわよ」と意味深な言葉を言って部屋から出て行くと、数分で志野谷さんが入ってきた。