エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
「あの、これって無料ですか……すみません、失礼なことを言ってしまって」
「いいえ。説明不足で申し訳ありません。こちらは無料でさせていただいているサービスです」
「よかった。すみません、よろしくお願いします」
彼女に座ってもらい、下地を塗っていく。そして薄めにファンデーションを店内用の使い捨てスポンジで叩き込み、パウダーで崩れないように閉じる。
研修で習ったメイクの仕方を思い出しながら、ハイライト、血色チークを頬と鼻先に丸を描くように入れる。そうすると盛れるんだとか……そして眉の形を整えペンシルで描き眉パウダー、眉マスカラを施す。
「この眉尻はしっかり、眉頭はふわっと描くといいですよ。ペンシルで描いた眉をパウダーでぼかしてマスカラをします」