エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。



「でも、そろそろ覚悟決めないといけないかもしれないわ。慈大好きお祖父様が帰国すると連絡があったんだもの。慈に番が見つかったこと喜んでいたらしいから」


 志野谷さんとお姉さんのお祖父様は、百貨店の会長様で齢八十。それなのに世界中を飛び回っているらしい。そんなお祖父様は、志野谷さんがアルファだと分かってとても喜んだそうだ。それでいつか、運命の番と結婚するのを心待ちにしていた……出会える可能性なんてないにも等しいのに。


「愛さんはどう思ってる、慈のこと」

「志野谷さんは……優しい人だと思います。いい人だって分かってるんですけどそれだけで、わかりましたって言っていいのかわからなくて」

「そうね。確かにそうだわ。でも、無理強いも出来ないわ。だって、あそこに、慈本人が睨みつけているんだもの」

「えっ」


 私はドアの方を見るとそこにはいるとは思ってなかった志野谷さんがいた。

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