エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
「そうか! なら良かった。さぁ、食べなさい」
「ありがとうございます、いただきます」
ティーカップに口をつけると一口飲む。少しだけ、紅茶が薄いかなぁとは思ったけど……普通の紅茶だ。普通に美味しい。
「志野谷さん、美味しいですよ」
「なら良かったよ。マカロンはどうかな?」
私は、マカロンを手に取ると一口かじる。メレンゲがサクサクしているのに一瞬で溶けて無くなってしまう。何これ美味しい……さすが、高級百貨店だなぁ
「とっても美味しいですっ」
「そうか、愛ちゃんに喜んでもらえて良かった。よければもっと食べていいよ」
「ありがとうございます、あの志野谷さん」
「どうした?」
覚悟を決めて話そうと口を開くも、なかなか言い出せない。だからか無意識に俯いてしまう。
それに彼は私の顔を覗き込む。