エリート御曹司は“運命の番”に理性が効かない。
三十分が経ち、最寄りの駅に到着する。電車から降りると、ふわっと何と言うんだろう官能的な香りがした。今日も抑制剤はしっかり飲んだのに……まさか、効れちゃったの?だけど、今までこんなこと……なかったのに。
だけど、何も考えられなくなるくらい強い香りで酔いそうな気分になり力が入らなくなりそうだった。
「……っ……」
どうしよう、とにかく座れる場所を探さなきゃ……フラフラしながらも簡易ベンチを見つけてそこへ向かって歩く。
救急外来、とかどこかやってるかな。明日は仕事があるし昼間は行けない。休暇とかの制度があるけど研修終わりの社員が取得できるとは限らない。
あと、何歩か歩くとベンチというところで私は力が抜けるように倒れそうになった……が、倒れることはなかった。
「……大丈夫か?」