ハツコイ
 「ありがとうっ」
 「ふっ、、ああ。」
 「望舞ー、もう行くぞー」
 「ほら、おいてかれるぞ。」
 「うん、行ってきます!」
 「ああ。気をつけてな。」
 「はーい!!」
 本当に、尤瑪さんには感謝しないといけない。
 この家に来て、私の世界は二度も変わった。
 一度目は風蘭によって。二度目は尤瑪さんによって。
 これまで、私の世界は、なくなることしかなかった。それなのに、こんなに簡単に、二度も変えることができるだなんて。前の私には到底わかり得ないこと。それを簡単に知らせてもらえた私は、幸せものだ。

   *

 「じゃ俺は教室行かないとだから。ちゃんと先生についていくんだぞ。」
 「うん!了解ですっ!」 
 「失礼しまーす・・・」
 「えーと・・・お名前は?」
 「あー、、っ、神井っ、望舞、です。」
 「かのい・・・あ〜っ、“羽宮(はみや)先生”のっ!わかりました。“上出(かみで)先生”〜、」
 「おー、どうした〜」
 「転校生の“神井さん”です。」
 「そうか、今日からだな。初めまして、上出です。」
 「初めまして、神井です。」
 「ん?てかお前、挨拶した?」
 「あっ、、春田です。」
 「初めまして。」
 「じゃ、行こうか。」
 「はいっ!・・・あっ、“春田先生”、」
 「はい、」
 「ありがとうございました。それでは、失礼します。」
< 10 / 28 >

この作品をシェア

pagetop