赤と黒に溶ける
夏祭りの3日前。
《今年の祭りも、2日目に行くよな。夕方5時にばあちゃん家、集合な》
佑くんから、あたりまえのことのようにラインで誘われた。
私と佑くんがお祭りに行くのは、いつも2日目と決まっている。2日目の夜には、神社の上空に花火が上がるからだ。
小さい頃は「綺麗だね〜」って、無邪気に見上げていた夏祭りの花火。
佑くんは、『夏祭りの花火を好きな人とふたりで見ると、永遠に結ばれる』っていうウワサがあるのを知っているだろうか。
中学生になって同級生からそのウワサを聞いた私は、佑くんからの夏祭りの誘いにドキドキ胸がときめいた。
佑くんは、私の初恋の人で。今もずっと、憧れている人。
でも、佑くんは、3つも年下の従妹になんて興味ないはず……。ずっとそう思ってたけど……。
もし佑くんが、夏祭りの花火のウワサを知ってて私を誘ってくれたんだとしたら……。これは、ワンチャンあるかもしれない。