赤と黒に溶ける
学校の友達に相談したら、「絶対かわいくオシャレして行きなよ!」って言うから……。
新しく買ってもらった紺色の浴衣を着て、髪の毛をハーフアップにアレンジして、浴衣の柄に合わせた色のネイルを塗って。
高校生の佑くんの隣に並んでも恥ずかしくないように、ちょっとおとなっぽく見えるようなメイクをした。
佑くんが、そんな私の努力に気付いてくれたらいいな。
そう思って、集合場所のおばあちゃんちに向かったけど。
「かわいいわね〜」ってニコニコしながら褒めてくれたのは、おばあちゃんだけ。
隣でヨーヨー釣りをする佑くんは、私の浴衣にまるで興味がなさそうで。
お祭りに来てからの態度も、去年までとまったく同じ。
せっかく可愛くしてきたのにな。
たぶん佑くんは、私のことを少しも意識してくれてない。