赤と黒に溶ける

 学校の友達に相談したら、「絶対かわいくオシャレして行きなよ!」って言うから……。

 新しく買ってもらった紺色の浴衣を着て、髪の毛をハーフアップにアレンジして、浴衣の柄に合わせた色のネイルを塗って。

 高校生の佑くんの隣に並んでも恥ずかしくないように、ちょっとおとなっぽく見えるようなメイクをした。

 佑くんが、そんな私の努力に気付いてくれたらいいな。

 そう思って、集合場所のおばあちゃんちに向かったけど。

「かわいいわね〜」ってニコニコしながら褒めてくれたのは、おばあちゃんだけ。

 隣でヨーヨー釣りをする佑くんは、私の浴衣にまるで興味がなさそうで。

 お祭りに来てからの態度も、去年までとまったく同じ。

 せっかく可愛くしてきたのにな。

 たぶん佑くんは、私のことを少しも意識してくれてない。

< 4 / 13 >

この作品をシェア

pagetop