赤と黒に溶ける
子どもみたいな目をしてヨーヨー釣りに夢中になっている佑くんを眺めていると、彼が白や黄色や青のストライプが入り混じった赤色のヨーヨーを釣り上げた。
「ん、千陽。これでいい?」
佑くんが白い歯を覗かせて笑いながら、赤色のヨーヨーを差し出してくる。
少し日焼けして、去年よりも大人っぽくなった佑くんの笑顔は眩くて。夏祭りの夜空にあがる打ち上げ花火みたいだって思った。
「うん、それでいい」
「了解。おっちゃん、これ、取れたやつもらっていい?」
佑くんが、ヨーヨー釣りのお店のおじさんに声をかけてから、赤いヨーヨーのゴムの輪っかを私の中指に引っかける。
そうして自分は、すでに取っていた、私のと同じ柄の黒のヨーヨーを指に引っかけた。
「ん、じゃあ、次行こ。なんか食わない? 俺、焼きそばがいい」
先に立ち上がって、屋台のほうにスタスタと歩き出す佑くんには、私に対しての気遣いがない。