君と一緒に花火が見たい
君がいないお祭り?
今日はお祭り当日。

蛍くんとはあれから話していない。

奏輝くんは蛍くんと話せていいな…。男の子同士だと話しやすいのかな?

「陽夏ちゃんもセット完了したわ」

「わぁ!すごい!これが私?」

鏡にうつる私はまるで別人のようだった。

「陽夏かわいい」

「うんうん!陽夏ちゃんいつもより可愛さ100倍くらい!」

「2人のほうが可愛いよ!」

「やっぱり可愛いわ!逆に誘拐されないか心配なくらい!」

「ふふっ夢さん!セットとかしてくれてありがとうございます」

「どういたしまして。3人とも楽しんでいってね」

「「「はい!」」」

少し歩いて着いたところにはたくさんの屋台が!

「ふわぁ〜!すごい!すごい!」

「陽夏、はしゃぎすぎて迷子にならないようにしないとね」

「そんなことないよ!」

「よし!なんか買ったりしよう!」

「うん!私玉せん食べてみたい!」

「玉せんは…あっ!あそこの店に売ってるよ」

「買いに行こう!」

「いらっしゃいませ〜!!」

「玉せんください」

「玉せんね〜ちょっとまっててね」

そう言って屋台の人は玉せんを作る。

その作業は見事でつい見てしまう。

「はい。400円です」

「1、2、3、4これで」

「はい。ありがとうございました〜!」

「これが玉せん…!とても美味しそう!いただきます!」

パック。

「うぅ〜美味しい〜!」

「良かったね」

「うん!」

それから私達は色んなところに回った。

ようよう釣りとかスイーツの屋台にパフェとかあってつい食べた。

「あそこにりんご飴が売ってるよ」

「ほんとだ!本場のりんご飴食べたい!」

「私はぶどう飴がいいな」

「私はいちご飴がいいです」

そうして列に並んで飴を買った。

「今ってりんご飴以外にも売ってるんだね!」

「そうだね。りんご飴も美味しいけどこっちも美味しいよ」

「たしかに美味しそう!」

「"ただいまより花火を打ち上げます"」

「花火!」

「恋華ちゃん…」

「分かってる」

「?ふたりともどうしたの?」

「なんでもないよ?そういえばねちょうどいい穴場なあるの。」

「じゃぁそこに行こうよ!」

「えぇ早く行かないと花火が始まってしまうよ」

「じゃぁ早く行こう!」

「うん!」

❅•❅•❅

「すごいこんなにいいところが誰にも知られてないなんて浮葉ちゃんよく知ってたね」

「……」

うん?どうしたのんだろう?恋華ちゃんも浮葉ちゃんもいなくなちゃった?

「えぇー!どうすればいいの!」

きっと恋華ちゃんと浮葉ちゃん心配してるよね?

「どうしよう!喋ってたり食べながら歩いてたから帰り道覚えていないよ!」

本当にどうしよう…!

「"お待たせしました。ただいまより花火を打ち上げます"」

花火…!

その合図とともに花火が打ち上がった。

「こんなに近くから見た花火はこんなにも綺麗…病室で見てきた花火は見劣りしてしまうほどだったなんて知らなかった」

やっと外に出て見れた花火は綺麗…。

それなのになぜこんなにも心が…。

「心が苦しいの…?」

やっぱり蛍くんを忘れてなんてできないよ…。どうしても…忘れようと思っても気づいたら蛍くんのことばかり考えてる。

蛍くんと一緒に花火が見たい!って私の心が叫んでる!

蛍くんのことを考えると胸が苦しくてでもドキドキする。

そういえば病院にいた時に見ていたドラマで同じような気持ちをしていたヒロインがいた。

その気持ちの正体は…。

「そうか…やっとわかった。この気持ちの正体は……"恋"なんだ」

私は蛍くんにずっと恋してたんだ。

蛍くんに話しかけられるととっても嬉しくて…心臓の動きが早く動いたのもずっと蛍くんが好きだったからなんだ。

でもこの恋は花火みたいに儚く散ってしまう。

だって蛍くんは私のことが嫌いだから…。

いまさら好かれようと思っても駄目だよね…。

ガサッ

「動物?たぬきとか?もしかしてイノシシ!どうしよう!」

近づいてくる…!

「おい…」

人の声?このちょうどいい低さの声は…。

「蛍くん?」

「そうだけど…。あいつこの事わかってここに俺を連れてきたな」

なんか怒ってる?っていうか蛍くんの着物姿…かっこいい!

本当に同じ人間かわかんないくらいにかっこいい。

それにいつもより喋ってる蛍くんもいいな、昔みたいで…。

「蛍くんはどうしてここに来たの?」

「奏輝が連れてきたんだよ。そういうあんたは?どうしてここに?」

「友達と一緒に来ていたら何故か急にいなくなってここに独りていたんだよ」

「……ふぅ〜ん。あっそ」

そっちから聞いてきたのに!

「泣いているがなにかあったのか?好きなやつにでも振られたか?」

私が泣いていたことに気づいてる?

「まぁ…でも蛍くんには関係ないから!」

「俺にはある!」

「え?」

蛍くんに関係ある?

「なんのために今まで我慢してたか気づけよ!」

我慢?

「それがなんの関係があるの?」

「ここまで言っても気づかないなんて…本当に鈍感」

「酷い!気づくって何を?私蛍くんと花火見たいからずっと我慢してた手術だって本当はやりたくなかったけど!早く蛍くんに会いたいって気持ちで頑張ったのに…無視されて傷ついたんだから!」

本当はこんな事を言いたいわけじゃない…だけど口から出るのは怒りの言葉ばっかり。

それにまた涙が…。勝手に怒って勝手に泣いている私のこともっと嫌いになたかな?

「…」

怒ってる…これ絶対怒ってる。

「あっの!違うの…いい、たいことはこれじゃないの…その、あの…」

「うん?ゆっくり話してみて」

「あーっとその、今さっき気づいたんだけど…」

「うん」

「私は…その蛍くんに無視とかされると傷ついたの」

「…ごめん」

「いいの…私も悪いし!だからね考えてみたの。そしたらね…そのね…私蛍くんのことを…!「やめて!」」

「え?」

どうしたの?

「っごめん!これ以上は言わないで欲しい」

「なんで…?」

私の気持ち気づいた?だけどなんで言っちゃだめなの?

「そんなに私のこと嫌い?」

やばい…言葉に出せばよけいに実感してしまう蛍くんが私のこと"嫌い"だって…。そう思うとよけいになみだが。

「違う!お願いだから泣かないで。俺のこと嫌ってるのは陽夏の方でしょ?今さっきも俺のこと嫌いって言いたかっただろ?」

「違うの…!私は…蛍くんのことが好きなの!!!」

「えっ?」

「私は病院にいたときからずっと蛍くんが好きだったって今さっききずいたの。今さっきも言ったけどずっと蛍くんと一緒に花火を見たくて頑張ったんだよ?だからね…やめてなんて言わないでよ…」

つい、流れで言ってしまった…。

「陽夏は俺のこと本当に嫌いじゃない?」

「うん〜!なんか言ったらわかってくれるの?花火一緒に見てくれるの〜?」

「もう一緒に見てるよ」

「そういえば今日はお祭りだった!」

「うん。ほんとは陽夏から祭りに誘われるの嬉しかったんだ。だけど可愛すぎてどうやって返せばいいか分からなくなったんだよ」

「でも…誰?とか…あれ?可愛すぎて?どういうこと?」

あたふたする私。

「そのまんま」

「もう!からかわないでよ!そういうのは好きな子以外にいたら勘違いされちゃうよ」

「別にいいよ。俺が好きなのは陽夏以外いないし」

別にいい?

「私のこと好き…?」

「うん。ずっとずっと俺は陽夏のことが好きだよ」

嘘…。

「私は蛍くんに嫌われてるって思ってた」

まさか蛍くんが私のこと好きだなんて。

「勘違いしてたんだ…」

「なんか拗ねてる?」

「拗ねてないよ」

「あのね改めて私は蛍くんが好き!付き合ってください…!」

「うん。よろしくお願いします」

「ふふっ良かった」

また涙が出たけどこれはつらい涙じゃない嬉しい涙。

「やっぱりきれいだ…」

「?」

「陽夏の涙にうつる花火がきれいなんだよ…」

「ふぇ!」

「ふふっ可愛い…それより約束達成できたね」

約束…。

「本当だ!やっとかなった!」

ずっとずっとずっと蛍くんと花火が見たいと思ってた。それが今日かなった。

「また来年も再来年も一緒に来ようね」

「うん。ずっとこの場所で花火を見よう」

❅・❅・❅

「わぁ…今年も綺麗」

「そうだね!3年前と全然変わってない」

私達は高校を卒業して大学に入学した。

もちろん、恋華ちゃんと浮葉ちゃんとは違うけど今でも遊びに行ったりしてる。

蛍くんとは一緒の学校に通ってる。

毎日が楽しい。

「本当に忘れられないよ」

「そうだね。俺もあの時が一番忘れられない。だけどまた来年も花火を見よう」

「うん!また来年も行こうね!」
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