エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「もっと、あちこちに旅行をして、きみといろんな景色を見たいよ」
博已さんがしみじみとした口調で言った。
「ふたりで、何度でも、新しい風景を」

私は背の高い彼を見上げ、頷いた。

「私も、博已さんともっともっといろんな世界を見たい。綺麗だね、すごいねって言い合いたい」
「俺は今まで綺麗な景色を見ても、特に心が動かされるような感覚は覚えなかった。でも、今日はきみと過ごして、すごく新鮮で嬉しかったよ。好きな人と同じものを見ることが、こんなに心を揺さぶるなんて知らなかった。初めての経験だった」
「素敵なものって共有したくなるんですね。抱く感想は違っても、同じものを見上げる瞬間が、きっと特別な体験なんだと思います」

そっと手をつなぐと、指を絡め強く握られた。嬉しくて私も握り返す。博已さんの手は大きくて、温かい。

「ふたりで宝物みたいな思い出を増やしていきましょうね」
「ああ」

博已さんが顔を近づけてきた。観光客もまだ歩いているアマルフィの夜道。だけど、私も博已さんも我慢できなくて、触れるようなキスをした。
月と海が私たちに寄り添っている。異国の海風が私たちの髪をなぶって通り過ぎて行った。


アマルフィに一泊し観光したあと、サレルノに一泊して私たちの旅行は終わった。
一時的にローマから離れるための旅行だったけれど、私にとっては忘れられないハネムーンとなったのだった。


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