エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「博已さん、びっくりした!」
「本当は口にしたかった」

素直に言うと、菊乃は迷った顔をしてから、「ん」とこちらに唇を突き出してくる。ぎゅっと瞑られた目ととがった唇が可愛らしくて噴き出してしまった。
キスがくると思っていたらしい菊乃は俺の笑い声に目をぱっと開けた。

「な、なんですか? キスは?」
「ごめん、ごめん。きみがしたいなら」
「したいって言ったのは博已さんで……」

言葉をふさいで今度こそ唇を重ねた。大好きな俺の妻。絶対に離したくない。
我慢できずに舌で唇を割り開き、口腔を深く味わう。菊乃が身をよじらせ、わずかに俺の胸を押し返した。

「博已さん、くるしい」
「もっと、じゃなくて?」
「お料理中ですよ……」

そう言いながら、菊乃の目も唇もなまめかしく俺を誘っている。俺のためだけにこういう表情をするようになった菊乃に、さらに独占欲と執着が湧いてくる。

「最後までしたくなったな」
「それは駄目……」
「じゃあ、キスは満足するまでさせてくれ」

満足なんかできないくせに、と腹の中で思いながら、コンロの火を止める。そのままキッチンの壁に菊乃を押し付け、たっぷりと唇を味わった。鼻に抜けるような菊乃の吐息が情欲を煽る。

「菊乃、愛してる」
「私も、……私も愛してます」

愛の言葉も吸い込んで、飽きることなく唇を貪り合った。

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