エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
絶望的なのは、ここにいる人達は私が横領をしたのだと思い込んでいるという事実。
かといって、私はやってもいない罪を認めるわけにはいかなかった。

「私はやっていません。調べてください。警察を呼びましょう」
「おまえが認めてくれたら……そう思っていたのにな」

伯父が珍しく覇気のない声で言った。
しかし、次の瞬間には私を睨みつけ、苛烈ないつもの口調に戻る。

「出ていけ。今日限りでクビだ」
「伯父さん!」

思わず社長ではなく伯父さんと呼んでしまったのは、伯父にだけは信じてほしかったからだ。厳しくても威圧的でも、私は伯父を信頼していたし、頼りにしていた。
こんな穴だらけの証拠で、讒言を真に受けるなんて信じられない。

「明日から来なくていい。社員寮からも月末までに出ろ。おまえの実家に俺からは言わないでおいてやるから、自分で事の次第を話せ」
「親父が優しくてよかったなあ」

正さんがせせら笑うように言う声がぐるぐる回る頭に響いた。嘘みたいだ。私は簡単に陥れられてしまった。
私は伯父だけを見つめた。この場でたったひとり頼りにしていた伯父は、私を信じようとはしていない。だからこそ、はっきりと言い切った。

「伯父さん、私はやっていません。信じてほしかったです」

これ以上何を言っても無駄だろう。それだけ伝え、私は踵を返した。
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