エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
それからのスケジュールが実は結構大変だった。
と、いうのもフォトアルバムを重視したいという希望を出していたため、挙式の間だけでなく、様々なウエディングフォトを撮らなければならなかった。
フィレンツェ市内でミケランジェロ広場やウフィツィ美術館前での撮影はもちろん、アルノ川沿いや街角でも撮影をする。軽い気持ちで申し込んだが、俺個人の感覚で言えば観光客も多いこれらの場所での撮影は少々恥ずかしかった。
ただ、こういった撮影は多いらしく、地元民も観光客もあまり気にしていない。むしろ、『結婚式? おめでとう』『素敵だね』などと声をかけてくる人もいた。菊乃はそういった反応にも素直に喜び笑顔で御礼を言っていて、彼女の性格の美しさをいっそう感じた。

ホテルに戻って着替えをする。俺は白のスーツ、菊乃は薄桃色のドレスだ。レースがふんだんに使われているが、すとんとしたシルエットは素朴で、物語に出てくる妖精の女王みたいだ。
フォト用のお色直しである。
これも、菊乃には内緒で進めた。菊乃は驚きながらも喜んでいた。ドレスを選んでいたときに菊乃が可愛いと指さしていたカラードレスを選んでおいて、正解だったようだ。
ホテルの中庭は緑豊かな庭園で、そこで写真撮影の続きを行った。

すべての撮影が終わると、さすがに俺も菊乃も疲れ果てていた。プランナーたちと挨拶をしてようやく結婚式の予定全行程を終えたのだった。
ディナーはホテルに特別なコースを頼んであるが、まだ時間があるので、夕暮のフィレンツェの街をふたりで歩いた。疲れているけれど、今ベッドに横になったら、俺も菊乃もディナーを食べ損ねる自信しかなかったからだ。
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