エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
博已さんとマルナカ弁当を出ると、昼時だ。

「来週は俺の実家。再来週は菊乃の実家。先に帰国した堂島さんと伊藤が、それぞれ食事に誘ってくれている。帰国早々ハードスケジュールだけど、菊乃は無理しなくていいからな」

博已さんが言い、私はお腹を撫でながら答える。

「はーい。苦しいときは言いまーす。でも、会いたい人ばかりだから、会いにいきたいなあ」
「今は赤ん坊優先だぞ」

もう一度、はーいと返事をすると、ちょうど思い出した。この道で三年前、プロポーズされた。契約婚をしてほしいって。
博已さんも同じことを考えていたようで、私の方を見た。

「あのとき、ここで菊乃に会えてよかった」
「本当にね。すれ違いで会えない可能性だってあったものね」

博已さんは少し考えるような顔をして、ふっと笑った。

「いや、きっとあのとき会えなくても、俺は菊乃を探したと思う。俺にとっては大事な大事な恋だったから。……ごめん、執着が強くて気味が悪いな」
「ふふ、博已さんに愛されてるって実感できて嬉しいエピソード」

ニマニマ笑う私の腰を博已さんがそっと抱いた。

「菊乃、イタリアではありがとう。三年間助かった」
「なあに、あらたまって」
「これからは日本でよろしく」
「また、数年うちにどこかの国に行くことになるんじゃない?」
「そのときはこの子とついてきてくれるか?」

私のお腹を撫でる手に、手を重ね、私は微笑んだ。

「もちろん。どこまでもいつまでも一緒だよ」

私と彼、そして生まれてくる赤ちゃん。
たくさんの景色を見よう。たくさんの愛を分け合おう。
そうして、幸せを紡いでいこう。


(了)


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