エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
彼の住まいは日比谷公園から新橋方向に向かって歩くとすぐのところにあるマンションだった。彼の勤務先の外務省とマルナカ弁当日比谷公園前店のどちらも近い。
引っ越しトラックが来るまでの間、公園でパンを食べて時間をつぶした。
今日から加賀谷さんと住むのだ。
考えてみれば、お客さんだった人の家に転がり込むなんてとんでもない話ではある。ほぼ毎日顔を合わせていただけで、名前だって先日まで知らなかった。
そんな人と今日から同居。
騙されているのではという気持ちにはならなかった。彼が名刺と外務省の通行証を見せてくれたのが理由ではなく、彼自身の誠実な様子は雰囲気からも言葉からも伝わってきた。不愛想で朴訥に見えるけれど、ぎこちなく微笑もうとしてくれたり、真剣に話す表情はきりりとしていたり。
ああ、でもこれは私の憧れがそう思わせるのかもしれない。
ずっと憧れて素敵だと思っていた男性に、ビジネスだとしても必要とされたら、嫌だなんて言いたくない。
人生の大きな変化のタイミングに現れた彼を信じてみたい。
十四時少し前にマンションに到着すると、すでに加賀谷さんが来ていた。今日は午後から半休を取るとは聞いていた。
「こんにちは、今日からよろしくお願いします」
オフィスビルのようにスタイリッシュで生活感の薄いエントランスで向かい合い、私は頭を下げる。スーツ姿の加賀谷さんはいつもの見慣れた姿。だけど今日から私の同居人になる。おそらくは近々に夫にも……なる。
「こちらこそ。部屋に案内します」
引っ越しトラックが来るまでの間、公園でパンを食べて時間をつぶした。
今日から加賀谷さんと住むのだ。
考えてみれば、お客さんだった人の家に転がり込むなんてとんでもない話ではある。ほぼ毎日顔を合わせていただけで、名前だって先日まで知らなかった。
そんな人と今日から同居。
騙されているのではという気持ちにはならなかった。彼が名刺と外務省の通行証を見せてくれたのが理由ではなく、彼自身の誠実な様子は雰囲気からも言葉からも伝わってきた。不愛想で朴訥に見えるけれど、ぎこちなく微笑もうとしてくれたり、真剣に話す表情はきりりとしていたり。
ああ、でもこれは私の憧れがそう思わせるのかもしれない。
ずっと憧れて素敵だと思っていた男性に、ビジネスだとしても必要とされたら、嫌だなんて言いたくない。
人生の大きな変化のタイミングに現れた彼を信じてみたい。
十四時少し前にマンションに到着すると、すでに加賀谷さんが来ていた。今日は午後から半休を取るとは聞いていた。
「こんにちは、今日からよろしくお願いします」
オフィスビルのようにスタイリッシュで生活感の薄いエントランスで向かい合い、私は頭を下げる。スーツ姿の加賀谷さんはいつもの見慣れた姿。だけど今日から私の同居人になる。おそらくは近々に夫にも……なる。
「こちらこそ。部屋に案内します」