エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
引っ越し業者はまだ到着していない。ロックをはずし、彼は建物の中に私を案内した。
二十階の一室が彼の部屋だった。間取りは2LDK。一部屋使っていなかったそうなので、そこが私の私室になるそうだ。都心ど真ん中のマンションは一室が狭くリビングもそう広々とはしていないが、ふたりで暮らす分には不自由はなさそうだ。
「狭くてすみません」
「いえ、私が住んでいた社宅の何倍もありますよ」
笑顔で答えたものの、この間取りは誰かと住んでいたのかなと想像してしまった。やはり過去には女性と同棲したりということもあったのではなかろうか。
私より年上なのだし、あり得ることだと思う。
「田舎の母が観劇が趣味で。しょっちゅう上京するのでこの間取りなんですよ」
私の想像を軽く壊して加賀谷さんが言う。ああなんだ、とホッとし、すぐになんで安堵したのだろうと思う。
「ご実家はどちらなんですか?」
「長野です。小枝さんは?」
「私は鳥取県です。空港からも新幹線からも遠くて、なかなか帰省しづらい場所なんです」
「近いうちに挨拶に行かなければなりませんね」
そう言われ、私はこの人と形ばかりだけれど結婚するのだと実感する。両家の親には契約結婚などとは言う予定はない。いや、まずマルナカ弁当を辞めたことも、私はまだ両親に話していないのだ。
「結婚する前に会いに行かなきゃですね」
「ええ。俺の方で予定を立てます」
そうこうしているうちに引っ越し業者がやってきた。荷物を運びこんでもらい、荷解きがスタート。その間に、加賀谷さんは食料品や生活用品の買い出しに出かけていった。
二十階の一室が彼の部屋だった。間取りは2LDK。一部屋使っていなかったそうなので、そこが私の私室になるそうだ。都心ど真ん中のマンションは一室が狭くリビングもそう広々とはしていないが、ふたりで暮らす分には不自由はなさそうだ。
「狭くてすみません」
「いえ、私が住んでいた社宅の何倍もありますよ」
笑顔で答えたものの、この間取りは誰かと住んでいたのかなと想像してしまった。やはり過去には女性と同棲したりということもあったのではなかろうか。
私より年上なのだし、あり得ることだと思う。
「田舎の母が観劇が趣味で。しょっちゅう上京するのでこの間取りなんですよ」
私の想像を軽く壊して加賀谷さんが言う。ああなんだ、とホッとし、すぐになんで安堵したのだろうと思う。
「ご実家はどちらなんですか?」
「長野です。小枝さんは?」
「私は鳥取県です。空港からも新幹線からも遠くて、なかなか帰省しづらい場所なんです」
「近いうちに挨拶に行かなければなりませんね」
そう言われ、私はこの人と形ばかりだけれど結婚するのだと実感する。両家の親には契約結婚などとは言う予定はない。いや、まずマルナカ弁当を辞めたことも、私はまだ両親に話していないのだ。
「結婚する前に会いに行かなきゃですね」
「ええ。俺の方で予定を立てます」
そうこうしているうちに引っ越し業者がやってきた。荷物を運びこんでもらい、荷解きがスタート。その間に、加賀谷さんは食料品や生活用品の買い出しに出かけていった。