エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
「あとは先日も話したけれど、きみには語学を学んでもらうことになる。英語と、現地のイタリア語を。大使館内では日本語が通じるけど、現地職員とは英語を使う機会も多い」
「わかりました。英語は短大時代に少し学びました」
「それは頼もしいな」

博已さんに「頼もしい」と言われ、大きなことを言ってしまったかと少々慌てた。実際に海外に行ったこともないし、海外で使ったこともない英語だ。通用しなかったら恥ずかしい。

「あの、イタリア語も英語もみっちり仕込んでくださると助かります。自信はないので。卒業して四年も経っていますし」
「語学に興味を持ってもらえるのは助かる。極論、まったく喋らないでも生活はできるんだ。でもきみだって、ひとりで買い物くらいは出たいだろう」

言葉を話せるようになるのは、私のためという点が大きいようだ。スプーンを置いて、私は胸をとんと叩き、意欲を見せる。

「ずっと外国の文化や言語に興味があって。海外旅行をしたことはないんですけど。だから、今回のイタリア行きは願ったり叶ったりです」
「ありがたいよ。俺からしたら無茶なお願いをしたと思っているから」
「そんなことありません!」

思わず声が大きくなり、慌てて咳払いをした。

「職も住まいも無くした私の前に現れた博已さんは神様です。私にはプラスにしかならない提案をしてくれました」
「しかし、きみの経歴には結婚歴がついてしまうし、二十代後半の貴重な時間を浪費させてしまう。もどってきたらきみは二十八歳だ」
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