エリート外交官は契約妻への一途すぎる愛を諦めない~きみは俺だけのもの~【極上スパダリの執着溺愛シリーズ】
同居がスタートして一週間はあっという間に過ぎた。
この一週間、私が何をしていたかというと、家事に精を出していた。博已さんの食事を作り、お弁当も持たせ見送る。日中は掃除洗濯。クリーニングを取りに行ったり、買い物をしたり。専業主婦の仕事をしている。
博已さんが頼んだわけではなく、私がやりたいと志願したのだ。自室を与えられ、快適な生活を保障されてしまった。何もしないではいられない。
ふたり暮らしの家事はそこまで手間ではなかった。小さな子どもがいるわけでもないし、博已さんの部屋は物が少ないくらいで私が来た時点でかなり片付いていた。

そういった理由で正直に言えば、ちょっと手持ち無沙汰だ。今まで長い時間をマルナカ弁当で過ごしてきたせいか、「まだできる」と思ってしまう。
しかし、博已さんはのんびりしていていいと言う。

「きみは婚約者という立場で職場に報告した。語学研修プログラムは職員のみで、きみには語学学校の紹介が来るので、もう少し待ってほしい」

入籍は双方の両親に挨拶をしてからの予定だけれど、婚約者でも勉強場所は斡旋してもらえるらしい。入学は来月あたりになるだろうとのことだ。
短大を卒業してから、こんなに自由な時間ができた経験があまりない。せっかくだからのんびりしてみるのもいいかもしれないと、二日ほど家事以外はごろごろして過ごしたけれど、どうにも時間がもったいない。三日目からは短大時代のテキストやノートを引っ張り出し見直すようになった。

「私、やっぱりこういう勉強が好きだなあ」

英語は幼い頃、海外の絵本を買ってもらったときから興味があった。幼いながら辞書を引っ張り出して、意味や内容を解読していくのは冒険みたいに楽しかった。
語学の勉強ができる学校を選んで進学したのもそういった興味関心からだ。英語にかかわる仕事にはつけなかったけれど、人生何があるかわからない。学校で学んだことが無駄にならないかもしれないと思うと、お金を出してくれた両親に報いているような気がする。

……一方で、伯父の会社を辞めたことはまだ言えないでいる。早く言わなければと思いつつ、両親が私の話を信じてくれるか不安に感じた。
温厚でおとなしく、実兄の伯父を慕っている父は、私の話を信じてくれるだろうか。
もし、信じてくれても伯父夫妻との亀裂は決定的になる。

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